実は子犬の時、高確率で寄生虫がお腹にいます。

あまり知られていない事でもありますが、子犬の時は寄生虫がいる事が多いと知っていますか?寄生虫と聞くと、なんだか怖い。虫が寄生しているから危険だ。と思われる飼い主さんが大半だと思います。でも、実は子犬の時に検便を行うと、高確率で寄生虫がいるのです。
これは育ての親、ブリーダーさんの環境が劣悪だからや管理が悪いからという事ではなく、いて当然なのです。そこらじゅうの公園や草むらにも寄生虫はいます。感染経路が様々で親から貰ったり、寄生虫に感染している犬同士で経口感染が発生してお腹に寄生虫が潜んでいるという事が多いのです。どうしても犬が多く集まるブリーダーの犬舎には、寄生虫が繁殖しやすいのも事実ではあります。

犬の寄生虫は飼い主に馴染みがないから怖いのです。

おおよそ生後40日頃より、健康診断、ワクチン接種と同時に検便をしてもらってから、一般の飼い主さんに子犬が渡されるので、寄生虫に関してはあまり馴染みがないと思います。虫下しを使った事がないブリーダーさんは恐らく世の中にはいないと思います。また、寄生虫に関しても病気ではないので、完治するのが前提になります。獣医師による見解によっては、「子犬の時に寄生虫がいる方が体が強く、抵抗力もある犬に育ちますよ。」という事も言われる程です。寄生虫がいたからと、落ち込む必要は全くありません。子犬の時に寄生虫を駆除できたかできなかったの差になります。この事を知っていれば、寄生虫に怯える必要はありません。

寄生虫に危険性がない訳ではありません。

子犬の時に寄生虫がいて当然である事は、知っていただけたと思います。もちろん寄生虫は犬の体の中で悪さをします。稀ではありますが、生後間もない子犬であれば、時に命の危険性も脅かされるケースもあります。しかし、一般的に飼い主さんが迎えるられる時期の子犬であれば、体重はもちろん体力もある程度ついているはずなので、重度の症状が出る事も少ないのです。とは言え、早期発見、早期治療を心がけ、子犬を迎えた後1週間後に動物病院で検便をしてもらう事をオススメします。数千円で検便もしてくれる動物病院もあるので、相談してみる事をオススメします。※ちなみになぜ一週間後かと言うと、寄生虫のタマゴが体内に寄生している可能性も考えられ、これは通常の薬が効かない事もあり、生活環境の変化や犬のストレスにより、孵化が始まるという少しやっかいな犬の寄生虫がいるためです。

子犬に寄生しやすい寄生虫「コクシジウム」

コクシジウムとは?

コクシジウムは、三段階に成長し、一般的に卵と呼ばれている物が、未成熟オーシストという単細胞となります。この未成熟オーシスト自体には、感染力はなく、糞便中に排出され、外界で発育して成熟オーシストとなり、再度、口から食べ物などといっしょに飲み込むことによって感染します。再度、感染すると、リンパ節や脾臓などで、成熟オーシストから、ユニゾイトシストにふ化します。小腸の腸管で、虫体が遊出して小腸の上皮細胞内に侵入し、多数分裂より分裂増殖を繰り返して、上皮細胞を破棄しながら、増殖を繰り返し、未成熟オーシストを産生して、糞便中に出ます。この原虫は肉眼で見る事はできません。
犬の寄生虫 コクシジウム

犬の症状

・食欲不振・体重減少・下痢・成長不振・症状が重いと血便も見られる
離乳後から3カ月齢ぐらいまで子犬で発病するものが多いコクシジウムは、感染しただけでは発症せず、外的ストレスなどが、きっかけとなり発症する場合が多い。特に食糞を行う子犬は注意が必要。

診断方法と治療方法

検便によっておこないます。具体的には、糞便中の虫卵を顕微鏡で検査するというかたちをとります。コクシジウムは、日頃の体調管理を行う事が必要です。一定の期間、投薬を続ける完治します。軽度の場合は、すぐに完治しますが、完全に駆除できているかは判断できませんので、再発する可能性があります。異常が見られれば直ちに病院へ行くようにしましょう。

子犬に寄生しやすい寄生虫「ジアルジア」

ジアルジアとは?

体は扁平で、8本の鞭毛を使い腸管を活発に、遊泳して、粘膜面に付着し、栄養分を吸収している。慢性の下痢や嘔吐・体重の減少等、発育不慮を起こす原因となります。多くの虫体が腸粘膜に付着すると、脂肪吸収を阻害されるために、脂肪を多く含む下痢を起こすジアルジアは長径10~15μm、短径6~10μm程度の大きさで、この原虫を肉眼で見る事はできません。
犬の寄生虫 ジアルジア

犬の症状

・体重減少・水っぽい、または粘り気の下痢・成長不振
食欲があっても、体重が落ちる事も見られます。感染しても無症状の場合もあります。

診断方法と治療方法

検便によっておこないます。具体的には、糞便中の虫卵を顕微鏡で検査するというかたちをとります。抗原虫薬を治療薬として使用します。ジアルジアは、日常の飼育環境で、出来るだけゲージをお湯などで、洗い流し、天日干しをして殺菌してあげるとより効果的です。一定の期間、投薬を続ける完治します。軽度の場合は、すぐに完治しますが、完全に駆除できているかは判断できませんので、再発する可能性があります。異常が見られれば直ちに病院へ行くようにしましょう。

子犬に寄生しやすい寄生虫「回虫」

回虫とは?

回虫は、ミミズを白くしたような、長さが7~15cmぐらいの虫です。糞便中に排出された虫の卵は、外界で発育して成熟卵となり、犬が口から食べ物などと、いっしょに飲み込むことによって感染します。この成熟卵が小腸でふ化して子虫となっていきます。 口から感染するので、経口感染といいます。 なお、妊娠している犬が感染していると、体内を移動している子虫が、 母犬の胎盤を通して胎児の腸管に移動します。
犬の寄生虫 回虫

犬の症状

・無症状・痩せ・下痢・発育不慮
回虫が少数の場合は、病気らしい症状はほとんどありません。しかし、子犬でたくさんの回虫が発生した場合には、症状がはっきりしてきます。お腹がふくれて、食べたものや、回虫を吐いたり、下痢といった症状がでます。そのうえ、子犬は発育不良となって、元気もなくなり、やせて貧血状態になります。場合によっては、回虫のかたまりが腸につまって、腸閉塞をおこしたり、その毒素のために、けいれんやてんかんのような発作を起こすこともあります。

診断方法と治療方法

検便によっておこないます。具体的には、糞便中の虫卵を顕微鏡で検査するというかたちをとります。抗原虫薬を治療薬として使用します。この寄生虫は肉眼で見る事ができます。一定の期間、投薬を続ける完治します。軽度の場合は、すぐに完治しますが、完全に駆除できているかは判断できませんので、再発する可能性があります。異常が見られれば直ちに病院へ行くようにしましょう。※薬の投薬が進むと、特に大型犬の場合は、大量のそうめんのような白いミミズが出てきます。

子犬に寄生しやすい寄生虫「鉤虫」

鉤虫とは?

長さ1~2cmぐらいの白い虫が、小腸に寄生して発病します。 この虫は、犬の小腸の粘膜にかみつき、血を吸って生きているので、 犬はひどい貧血、腸炎および、栄養不良となります。 とくに子犬に感染するとショック症状を呈することもあります。鉤虫は、普通1歳以下の犬で発病し、寄生率と寄生数も高くなります。症状は、軽いものから、重いものまで分かれてます。
犬の寄生虫 鉤虫

犬の症状

・下痢・貧血・食欲不振
多くの場合は軽い下痢が見られる程度で、症状として現れないこともあります。

診断方法と治療方法

検便によっておこないます。具体的には、糞便中の虫卵を顕微鏡で検査するというかたちをとります。抗原虫薬を治療薬として使用します。一定の期間、投薬を続ける完治します。軽度の場合は、すぐに完治しますが、完全に駆除できているかは判断できませんので、再発する可能性があります。症状が軽いときは、駆虫薬を飲ませるか、皮下注射するだけで十分ですが、普通は犬が慢性的な不健康状態になるおので、腸炎に対する処置や栄養補給などをおこないます。また、甚急性および急性鉤虫症で症状が重く、貧血がはげしく、ショック状態にあるものでは、輸血をおこなうなどの救急処置を必要とします。異常が見られれば直ちに病院へ行くようにしましょう。

子犬に寄生しやすい寄生虫「瓜実条虫」

瓜実条虫とは?

瓜実条虫は、楕円形を一列にたくさんつなげたような形をしていて、長さは最高50センチにもなります。頭の部分で増殖して体を伸ばしていき、卵をたくさん含んでいる後の方の体(老熟片節)をちぎって便の中に卵を排出します。この卵を多く含んだ、片節をノミなどの幼虫が摂取してノミの内臓に移行して、発育して、ノミの成長に伴って、感染力をもつまでに発育します。このノミを犬が摂取して、次々と片節を新生させ、便で排出してサイクルが出来てしまいます。
犬の寄生虫 瓜実条虫

犬の症状

・無症状・痩せ・下痢・出血性腸炎(多数寄生による)

診断方法と治療方法

検便によっておこないます。具体的には、糞便中の虫卵を顕微鏡で検査するというかたちをとります。抗原虫薬を治療薬として使用します。瓜実条虫は、瓜実条虫の中間宿主であるノミを駆虫することで予防できます。ノミの活動が活発になる時期は、定期的なノミの駆虫を欠かさないようにしましょう。日常の飼育環境で、出来るだけゲージをお湯などで、洗い流し、天日干しをして殺菌してあげるとより効果的です。一定の期間、投薬を続ける完治します。軽度の場合は、すぐに完治しますが、完全に駆除できているかは判断できませんので、再発する可能性があります。異常が見られれば直ちに病院へ行くようにしましょう。

寄生虫に注意したいまとめ

寄生虫は知っていれば怖くないと書きましたが、いかに早期発見と治療を行うかが、カギになります。日頃から愛犬の様子、健康状態、便の様子の3点は観察してあげる事が飼い主さんに出来る事となります。特に子犬や老犬には負担になりがちなので、注意してあげてくださいね。お散歩の際には、他の犬がしたウンチなどに興味をもったりする場合は避けてあげる事がオススメです。